5. かみのけ座

髪座 Coma Berenices

転変オーロラ  Mutability-Northern Lights


 地球(太陽系)は天の川銀河に存在する、と以前書きました。では天の川銀河は宇宙のどこにあるのでしょうか。
 ここは「かみのけ座銀河団」という領域です。さまざまな形の無数の銀河が重力の影響を受けて集団になっています。天の川銀河はこの銀河団ではなく、すぐ隣にある「おとめ座銀河団」にあると言われています。

 シサスクのかみのけ座のイメージは「転変 〜 オーロラ」。
 かみのけ座には「銀河の北極点」があります。銀河の北極点、つまり地球から見て、かみのけ座の方向というのは、ほかの天体に遮られることなく遠方の銀河がよく見える場所で「宇宙の窓」とも呼ばれています。
 一方、オーロラは極光ともいい、天体の極地(天頂)付近で発生するといわれます。
 シサスクは「宇宙の窓」からオーロラを連想したと同時に、個性ある無数の銀河に、オーロラのように怪しげにゆらめいて転変する色のイメージを重ね合わせたのではないでしょうか。初版楽譜には、かみのけ座の領域に 4つの天体が書き込まれています。一つずつ NASAの画像で見てみましょう。










 「マルカリアンの鎖」という上の画像は、おとめ座銀河団の一部ですが、ここにはシサスクが書き入れている M88という銀河も含まれています。なめらかな弧を描くような銀河のチェーン。あまりの美しさにうっとりしてしまいます。
 シサスクのかみのけ座の音楽は、渦を巻く銀河のような回転する動き、カラフルで個性的な銀河一つ一つへの愛着を感じるような聴きやすい調性感をもち、鋭く光を放つ高音から重量感のある低音まで使って、銀河団のスケールの大きさまでも表現しているようです。どことなく不穏な空気が漂うのは、オーロラの揺らめきなのか、はたまた髪の毛という不気味な星座の名から来ているか。
 最後に「かみのけ座とオーロラ」の興味深い画像を一つお見せして、終わりたいと思います。


 これはカナダの切手です。かみのけ座 Coma Berenices の辺りを中心にオーロラのカーテンが降りています。オーロアと星の写真を撮りにいくオーロラファンも多いようで、検索するとたくさんの画像がヒットします。
 シサスクの国、エストニアでもオーロラは見えるようで、その季節になると、彼はオーストラリアなどから天文学者の友人たちを呼んで、オーロラ見物と星の観察、あるいは宇宙についての語り合いをしているそうです。

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