アンドロメダ座 Andromeda
力 Force - 雷雨、虹 Thunderstorm, Rainbow
肉眼で見られる銀河があります。このアンドロメダ銀河と、南半球で見られる大マゼラン銀河、小マゼラン銀河の 3つ。視力の優れた人にはもう一つ、さんかく座銀河(M33)が見えるそうです。
私はアンドロメダ銀河を肉眼で見たことがあります。でも相当小さいですから、あったー!っと見つけてもすぐまた見失ってしまう。上の画像は 2019年9月9日のアンドロメダ銀河です。やっぱり拡大画像で見るのが一番ですね。それにしてもこれはもうただ美しいという言葉では足りません。アンドロメダ銀河はたくさんの画像があるので、折角ですからもう一つアップしてみましょう。
野尻抱影氏は「まるで吹雪が凄まじい旋風で楕円状の大渦を巻いた姿」と表現していますが、こちらの青みのある画像では、まさにそんな風にも感じます。
アンドロメダ銀河は我々の天の川銀河の隣にあると言われますが、隣といっても地球から 250万光年離れています。もしこの渦巻きの腕の部分に太陽系のような構造があれば、生命が存在するかもしれません。私は宇宙人はいると思っていますが、発見などできなくても良いのではないでしょうか。古代の人々が天地を創造した神々を想ったように、想像することこそが素晴らしいのではないかと思っています。
シサスクが初版譜面に記したアンドロメダ座の星座図にはアンドロメダ銀河の他にあと 2つ、散開星団 NGC 752と惑星状星雲 NGC 7662が記されています。NASA画像には後者が見つかりました。
the Blue Snowball Nebula(NGC7662)
惑星状星雲 NGC 7662は「青い雪玉星雲」の呼び名を持っています。中央からはガスが放出されています。
シサスクのアンドロメダ座のイメージは「力 - 雷雨、虹」。
edition49の楽譜では「力」の英訳が Powerになっていますが、エストニア語から翻訳すると Forceが適訳かと思います。雷雨の訳はもしかしたら「雷」だけでも良いかもしれません。「力」の具体的なイメージを「雷」で表しているのはわかりやすいですが、加えて「虹」というイメージが入っているところが興味深いですね。シサスクにとって、虹とは光の屈折や反射という科学的現象、あるいは光のスペクトルのことを言いたいのではないかと思います。ここに取り上げた画像を見るだけでも、光と色彩の豊かさには驚くべきものがあります。雷の現象についても調べれば奥が深いと思います。
シサスクのアンドロメダ座の曲想はどうでしょうか。
ギリシャ神話のアンドロメダ姫のイメージはなく、シサスクが星座の名前に囚われずに曲を書いていることがわかります。まず1ページ目は光がほとんどなく、暗黒の世界のようです。目には何も見えないのに、何か巨大なものの存在を感じる恐ろしさが音楽に表れています。次第に雷鳴のような音も聞こえてきて、2ページ目で一度、音量が頂点に達します。その後、何かが生み出されるような「力」がふつふつと沸き、新星誕生を思わせる爆音に増大します。気がつくと虹の光源に投げ出され、見たことのない光景を目前にしばしそこに佇み、呆然となります。空間の広がりを表すような連打音、フェイドアウトに長い時間をかける終わり方は、その光景が果てしなく永遠であることを教えてくれます。
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