11. おうし座 Taurus

牡牛座  Taurus

鮮鋭  Sharpness

Bright Jupiter in Taurus

 シサスクさんに一番好きな星座は?と尋ねたことがあります。どれも好きだから答えにくいが、あえて言うならおうし座とのこと。

 この画像では迫力あるジュピター(木星)が写っていますが、木星を挟むような二本の角(つの)は、牡牛 Taurus の角です。ちょうど顔の部分には「ヒアデス星団」 Hyades が、右上の端には「プレアデス星団」 Pleiades があります。右の角の先端の星はぎょしゃ座 Auriga とつながっていて、左の角の先端近くには M1(かに星雲)があります。おうし座の下にはオリオン座が、左端にはふたご座が見えています。これを眺めているだけで、2つのゴージャスな星団を含んだおうし座の領域がどれほど魅力的かがわかり、シサスクが一番好きと言った理由も頷けます

 

 左側の青い星の塊は「プレアデス星団」。右端のオレンジの星(アルデバラン)の周辺が「ヒアデス星団」です。アルデバランは、アラビア語で「ついてくる者」という意味で、プレアデスの後を追っているという意味とのこと。この画像は本当に後を追っているように見えます。
  「プレアデス星団」については《北半球の星空》に挿入された組曲があり、その時に詳しく書きたいと思いますので、今回は「ヒアデス星団」をよく見てみたいと思います。



 「ヒアデス星団」とアルデバランがくっきりと見えている画像です。左上には青い彗星が飛んでいます。ヒアデス星団」は地球からおよそ 150光年ですが、オレンジ色にひときわ大きく輝くおうし座の α星 アルデバランは地球からたったの 65光年しか離れていないため、星団とは遠近感があるように見えます。


 おしまいに、「かに星雲」 M1 を見てみましょう。



 地球から 6500光年の距離にあり、メシエカタログ 1番に登録された「かに星雲」は、超新星の残骸。超新星とは、巨大な恒星がその一生を終える時に起こす大規模な爆発現象のことで、夜空に突如明るく輝き出してまるで星が新しく生まれたかのように見えることからそういわれます。「かに星雲」になった星は 1054年に爆発し、中国では「7月4日に突然現れた明るい星で、2年間、金星くらいの明るさで見えていた」という観測記録が残っています。

 シサスクのおうし座のイメージは「鮮鋭」。

 日本語にするのに悩みすぎて、このようなタイトルになりましたが、英語ではわかりやすく「シャープネス」Sharpnessです。野尻抱影氏によると、アルデバランの色は紅ばらのようで橙(だいだい)ではないとか・・「鮮紅」という言葉を使っておられます。

 おうし座の領域は魅力的な星が豊富で、特に、地球に近いアルデバラン、肉眼でもくっきりと青く見えるプレアデスの光線には力強さがあります。おうし座の星座の形として、V字の角の鋭さのイメージもあるし、「かに星雲」の存在は、星の爆発、すなわち生と死が宇宙にもあることを教えてくれています。

 シサスクのおうし座の音楽は、終始、燃え上がるようなエネルギーに溢れ、切れのあるリズムによって心拍数が上がっていくような緊迫感があります。星から放たれる鋭く鮮やかな色の光線がまぶしく飛び交うようでもあります。画像から感じることはとても多いのに、曲は 1分半にも達しない短さで終わってしまうという意外さ。しかしそれが却って強烈な印象を残すことに成功しています。