47. ちょうこくしつ座 Sculptor

彫刻室座  Sculptor

眠れる美  The Sleeping Beauty

NGC 253

 この渦巻銀河は 1150万光年にある「ちょうこくしつ座銀河」です。ここでは爆発的な星形成が行われているため、スターバースト銀河とも呼ばれています。中心には巨大なブラックホールがあります。美しい画像がたくさんあるので、角度を変えたものをもう一つ挙げてみます。


 銀河を側面から見ると、円盤のような形であることがよくわかります。しばし見惚れてしまう色彩です。



 渦巻銀河 NGC 289 は 7000万年光年にあり、天の川銀河より大きいそうです。




 NGC 55 は不規則銀河とよばれ、600万光年にあります。銀河を真横からみた姿です。明るく輝く部分は銀河の核で、新しい星々が生成され、桃色に発光しているのだそうです。


NGC 613: Spiral of Dust and Stars 

 6500万光年にある棒渦巻銀河 NGC 613 です。棒渦巻という名の通り、中心部から伸びる棒が回転しているように見え、渦を作る腕に動きが感じられます。中心の核には大質量のブラックホールがあるそうです。
 ちょうこくしつ座は、はじめ「彫刻家のアトリエ」という星座名でしたが、後に変更されました。

 シサスクのちょうこくしつ座のイメージは「眠れる美」。
 アトリエに眠るのはどのような美なのでしょうか。

 ちょうこくしつ座の α星の近くには「銀河の南極点」があります。以前、かみのけ座に「銀河の北極点」があると書きました。天の川銀河の平面から 90度離れた点を銀河座標といい、北に 90度離れた点が銀河の北極、南に離れた点は銀河の南極、ここをそれぞれ「宇宙の窓」と呼ぶとも書きました。ちょうこくしつ座かみのけ座の反対方向の宇宙の窓ということになるわけです。銀河の北極と南極は天の川のちりやガスによって視界が妨げられないので、遠い銀河がよく見えるそうです。上の画像 NGC 253、 NGC 289、NGC 613 は宇宙の窓の近くにあります。ほかにも数多の知られざる銀河の宝がこのアトリエに眠っていることでしょう。

 シサスクのちょうこくしつ座の音楽は、彼の夢の中に出てきた YUKO という名の白猫の話から始まります。シサスクは楽譜にこう書いています。

 2015年 5月7日のことです。
 私はエレベーターで眠るYUKO という名の白猫の夢を見ました。

「眠れる美」というサブタイトルはここから来ているということですが、夢といえども、猫の名がどうして YUKO(私の名前!)で、どうしてエレベーターで寝ているのか・・想像がふくらみます。音楽は左手がエレベーターが昇り降りするかのような音型を繰り返すと同時に、下記のメロディが延々と繰り返されます。



 このメロディはシサスクの「子守唄の三部作」Trilogy of Lullabyes Op. 151 からの引用です。さらにこの曲は左右対象の構成になっており、後半が前半の終わりから冒頭に逆行する形で作られています。曲全体の造りまでも昇って降りるだけのエレベーターの動きと同じというわけです。

 彼の書いたこのララバイがささやくように聞こえる中で、白猫が眠るエレベーターは天の川銀河から生まれる新しい星々を宇宙への窓から外へと誘い出しているのでしょうか。夢の中で白猫に出会うと、宇宙に行けるということなのかもしれません。




コメント