定規座 Norma
クイッティ・フイッティ Kuijti-Huijti
プレアデス星団の背後に息づく生命 Life beyond Pleiades
Galaxies Cluster Toward the Great Attractor
以前、うお座で、ラニアケア超銀河団の範囲の中にあるグレート・アトラクター(巨大重力源)について書きました。実は、グレート・アトラクターは 2億2000万光年にある「じょうぎ座銀河団」(別名 ACO 3627 または Abell 3627)の近くにあります。「じょうぎ座銀河団」は観測が難しく、この画像はとても貴重なものです。ここに点在する数百万の銀河はグレート・アトラクターに向かってゆっくりと引き寄せられており、その過程では隣接する銀河が衝突し合い、大量の電波が放射されるそうです。私たちの地球がある天の川銀河もこれらの銀河集団の流れに徐々に引き寄せられています。
Galaxies Cluster Toward the Great Attractor
以前、うお座で、ラニアケア超銀河団の範囲の中にあるグレート・アトラクター(巨大重力源)について書きました。実は、グレート・アトラクターは 2億2000万光年にある「じょうぎ座銀河団」(別名 ACO 3627 または Abell 3627)の近くにあります。「じょうぎ座銀河団」は観測が難しく、この画像はとても貴重なものです。ここに点在する数百万の銀河はグレート・アトラクターに向かってゆっくりと引き寄せられており、その過程では隣接する銀河が衝突し合い、大量の電波が放射されるそうです。私たちの地球がある天の川銀河もこれらの銀河集団の流れに徐々に引き寄せられています。
これはじょうぎ座の方向、4200光年にある双極輝線星雲 NGC 6164です。中心に輝く星は太陽の 40倍の質量を持ち、4光年にもわたるガスを放出しています。そのガスは中心の星が高速回転し、スプリンクラーのように撒き散らされているのではないかとも考えられています。らしんばん座で紹介した惑星状星雲 NGC 2818と同様、寿命の終わりに近づいている星なのです。
天の川が通過するじょうぎ座の領域は、星の数がとても豊かで、8つの散開星団があります。3500光年にある NGC 6087はじょうぎ座で最も明るい散開星団です。
これはじょうぎ座の方向、4200光年にある双極輝線星雲 NGC 6164です。中心に輝く星は太陽の 40倍の質量を持ち、4光年にもわたるガスを放出しています。そのガスは中心の星が高速回転し、スプリンクラーのように撒き散らされているのではないかとも考えられています。らしんばん座で紹介した惑星状星雲 NGC 2818と同様、寿命の終わりに近づいている星なのです。
天の川が通過するじょうぎ座の領域は、星の数がとても豊かで、8つの散開星団があります。3500光年にある NGC 6087はじょうぎ座で最も明るい散開星団です。
シサスクのじょうぎ座のイメージは「クイッティ・フイッティ」。サブタイトルは、エストニア語を直訳すると「プレアデス星団の背後にある生命」。
プレアデス星団の背後にある「クイッティ・フイッティ」がなぜ、じょうぎ座のイメージそのものになったのでしょうか。
地球から見ると、じょうぎ座とプレアデス星団は正反対の方角に見えます。でも北半球では、この2つが同時に見えることはありません。北半球でじょうぎ座が見られる場合、季節は夏で、じょうぎ座が南西に沈んだ後、明け方にプレアデス星団が北東から昇ってきます。 天球儀で見た場合、じょうぎ座はプレアデス星団の裏側に位置しています。たとえば地球儀で、日本の裏側がブラジル辺りであるように。つまりシサスクがサブタイトルに添えた「プレアデス星団の背後」とは、じょうぎ座の方向を指しているのではないでしょうか。
じょうぎ座には散開星団が8つもあると書きました。プレアデス星団も散開星団です。じょうぎ座で一番明るい散開星団 NGC 6087の画像を見て、はっとしました。星々に青みがあり、まるでプレアデス星団が投影されているかのようでもあります。じょうぎ座の領域とプレアデス星団の位置関係は、宇宙の広さを改めて感じさせてくれます。「じょうぎ座銀河団」のグレート・アトラクターに吸い込まれて行くまでを思い浮かべれば、さらにスケールの大きな話になっていきますね。
これはシサスクのインタビュー記事に載っていて検索でもヒットする写真です。シサスクが太陽系外惑星「クイッティ・フイッティ」についてのメモを手にしています。インタビュー記事によると「クイッティ・フイッティ」は 900光年にあり、このメモからは 400光年にあるプレアデス星団に属するアステローペの向こう側にあるということがわかります。
太陽系外惑星とは太陽系の外にあって、太陽のような恒星の周りを公転する惑星のことで、系外惑星ともいいます。1992年に最初の系外惑星が見つかってから、現在(2022年1月1日時点)までに 4903個も発見されています。シサスクがじょうぎ座の作曲を終えたのは 2015年12月27日となっているので、2015年について調べてみました。すると、その年には NASAオリジナルの惑星探査機のケプラー宇宙望遠鏡によって、地球によく似た系外惑星が複数発見されていることがわかりました。独特な表記の「クイッティ・フイッティ」(写真の赤い囲みのヒエログリフ。ラテン語では Q J I J T I H J I J T I )らしきものは見当たりませんでしたが、名もなき天体は無限といってよいほど存在しており、新発見の小惑星の場合、発見者が名前の提案をしてよいことになっています。
「クイッティ・フイッティ」は地球外文明を有しており、シサスクは “精神的な” 音声通信を行なっているらしいのですが、一体どういうことでしょうか。じょうぎ座の音楽を見て、考えてみましょう。
前曲のらしんばん座(夢見る者の幻影)は、太陽が寿命を終えたように長い沈黙に入って終わりました。じょうぎ座にも双極輝線星雲 NGC 6164という命を終えようとしている天体があり、そのことがもしかしたら、この 2曲が続くように書かれた理由になっているかもしれません。
じょうぎ座は、長い沈黙から微かに振れる電波を感知するかのように始まります。そう、2億2000万光年の「じょうぎ座銀河団」にあるグレート・アトラクターの周辺からは衝突する銀河から大量の電波が放射されているのでしたね。電波の振れ幅は拡大し、やがてまさに衝突音のような巨大な音(ff の和音の後、内部の弦を両手で叩く)が轟きます。
そこから小さく生まれ出るのが「クイッティ・フイッティ」のテーマ(譜例の[1] から)です。
調性機能(ハ長調)を持つあまりにも純粋なこのテーマは、なにか特別なものに聞こえませんか? 心が宇宙という故郷へと帰っていくように思えます。
らしんばん座にも現れた三連符を含む「鶯のリズム」と 8分音符の同音反復は、シサスクと「クイッティ・フイッティ」との音声交信のようです。 たとえお互い目に見えなくても、どんなに遠く離れていても、心が通い合っているのだなと想像できます。 終結部は、「鶯のリズム」と急速に回転するような 32分音符が絡み合うように高度と音量を上げ、闇に消えたらしんばん座とは正反対に、眩しい光の中に消えていきます。
演奏によって、誰もがクイッティ・フイッティと交信できますように!
シサスクのじょうぎ座のイメージは「クイッティ・フイッティ」。サブタイトルは、エストニア語を直訳すると「プレアデス星団の背後にある生命」。
プレアデス星団の背後にある「クイッティ・フイッティ」がなぜ、じょうぎ座のイメージそのものになったのでしょうか。
地球から見ると、じょうぎ座とプレアデス星団は正反対の方角に見えます。でも北半球では、この2つが同時に見えることはありません。北半球でじょうぎ座が見られる場合、季節は夏で、じょうぎ座が南西に沈んだ後、明け方にプレアデス星団が北東から昇ってきます。
天球儀で見た場合、じょうぎ座はプレアデス星団の裏側に位置しています。たとえば地球儀で、日本の裏側がブラジル辺りであるように。つまりシサスクがサブタイトルに添えた「プレアデス星団の背後」とは、じょうぎ座の方向を指しているのではないでしょうか。
じょうぎ座には散開星団が8つもあると書きました。プレアデス星団も散開星団です。じょうぎ座で一番明るい散開星団 NGC 6087の画像を見て、はっとしました。星々に青みがあり、まるでプレアデス星団が投影されているかのようでもあります。じょうぎ座の領域とプレアデス星団の位置関係は、宇宙の広さを改めて感じさせてくれます。「じょうぎ座銀河団」のグレート・アトラクターに吸い込まれて行くまでを思い浮かべれば、さらにスケールの大きな話になっていきますね。
これはシサスクのインタビュー記事に載っていて検索でもヒットする写真です。シサスクが太陽系外惑星「クイッティ・フイッティ」についてのメモを手にしています。インタビュー記事によると「クイッティ・フイッティ」は 900光年にあり、このメモからは 400光年にあるプレアデス星団に属するアステローペの向こう側にあるということがわかります。
太陽系外惑星とは太陽系の外にあって、太陽のような恒星の周りを公転する惑星のことで、系外惑星ともいいます。1992年に最初の系外惑星が見つかってから、現在(2022年1月1日時点)までに 4903個も発見されています。シサスクがじょうぎ座の作曲を終えたのは 2015年12月27日となっているので、2015年について調べてみました。すると、その年には NASAオリジナルの惑星探査機のケプラー宇宙望遠鏡によって、地球によく似た系外惑星が複数発見されていることがわかりました。独特な表記の「クイッティ・フイッティ」(写真の赤い囲みのヒエログリフ。ラテン語では
Q J I J T I H J I J T I )らしきものは見当たりませんでしたが、名もなき天体は無限といってよいほど存在しており、新発見の小惑星の場合、発見者が名前の提案をしてよいことになっています。
「クイッティ・フイッティ」は地球外文明を有しており、シサスクは “精神的な” 音声通信を行なっているらしいのですが、一体どういうことでしょうか。じょうぎ座の音楽を見て、考えてみましょう。
前曲のらしんばん座(夢見る者の幻影)は、太陽が寿命を終えたように長い沈黙に入って終わりました。じょうぎ座にも双極輝線星雲 NGC 6164という命を終えようとしている天体があり、そのことがもしかしたら、この 2曲が続くように書かれた理由になっているかもしれません。
じょうぎ座は、長い沈黙から微かに振れる電波を感知するかのように始まります。そう、2億2000万光年の「じょうぎ座銀河団」にあるグレート・アトラクターの周辺からは衝突する銀河から大量の電波が放射されているのでしたね。電波の振れ幅は拡大し、やがてまさに衝突音のような巨大な音(ff の和音の後、内部の弦を両手で叩く)が轟きます。
そこから小さく生まれ出るのが「クイッティ・フイッティ」のテーマ(譜例の[1] から)です。
調性機能(ハ長調)を持つあまりにも純粋なこのテーマは、なにか特別なものに聞こえませんか? 心が宇宙という故郷へと帰っていくように思えます。
らしんばん座にも現れた三連符を含む「鶯のリズム」と 8分音符の同音反復は、シサスクと「クイッティ・フイッティ」との音声交信のようです。 たとえお互い目に見えなくても、どんなに遠く離れていても、心が通い合っているのだなと想像できます。
終結部は、「鶯のリズム」と急速に回転するような 32分音符が絡み合うように高度と音量を上げ、闇に消えたらしんばん座とは正反対に、眩しい光の中に消えていきます。
演奏によって、誰もがクイッティ・フイッティと交信できますように!
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