三角座 Triangulum
三つのボタン Three Buttons
The Hydrogen Clouds of M33
ゴージャスな渦巻銀河 M33は300万光年にあり、さんかく座銀河 Triangulum Galaxy とも呼ばれています。直径は5万光年以上、 アンドロメダ銀河 M31と私たちの天の川銀河に次ぐ大きさで、アンドロメダ銀河の衛星であるとも考えられています。次にアンドロメダ銀河と並んでいる画像を見てみましょう。
中央の星はアンドロメダ座で最も明るい β星「ミラク」Mirach で、200光年にあります。ミラクを中心に点対称に並ぶ アンドロメダ銀河 M31(左) は 250万光年、さんかく座銀河M33(右)は 300万光年にあります。重力で引き合うのは M31と M33だけでなく、実は天の川銀河も含まれ、 3つの銀河は数十億年後に接近、ついには合体するのではないかと予測されています。
フランスのエンパリ高原 Plateau d' Emparis(標高2400 m)の夜空の写真に、さんかく座銀河 M33と アンドロメダ銀河 M31を見つけましたので、周囲の星を結び、編集してみました。カシオペヤ座、アンドロメダ座、一部しか見えていないペルセウス座に比べ、さんかく座がいかに小さいかもわかります。
NGC 925 (Wikipedia & Mt. LEMMON SKYCENTER)
NGC 925は 2000万光年にある棒渦巻銀河です。シサスクはさんかく座の天体として、 M33以外に NGC 925と NGC 784を記していますが、NASAギャラリーには M33 以外の天体画像は見つかりませんでした。アメリカのレモン山天文台 Mt. Lemmon Sky Cernter Observatoryのギャラリーに美しい NGC 925がありましたので、挙げておきたいと思います。形がやや歪んでいるのは、過去に別の銀河との相互作用があったためではないかと考えられています。
シサスクのさんかく座のイメージは「三つのボタン」。 さんかく座を構成する α星には、アラビア語で「三角の頭」を意味する Mothallah(モサラー)という固有名があり、β星はさんかく座の星の中で一番明るく、残るもう一つは 実は γ星と δ星の 2つあり、しかも δ星は連星ということもあって、3つの星が集まっているようにも見えます。
シサスクのさんかく座の音楽は 17小節(演奏時間 1分強)しかありません。三角形を形作る 3つの星を「一つ目のボタン」から三つ目まで表示し、それぞれ 5小節ずつ全 15小節、続いて「さんかく座銀河」M33を 2小節で表すという構成になっています。見応えある M33をたったの 2小節で終えてしまうなんて!と思われるかもしれませんね。そこで次のような展開がありえるのではないかと考えてみました。
1つ見つけては、望遠鏡の角度や倍率を変えます。(フェルマータで音楽が止まる)
【二つ目】
最後に M33 に焦点を合わせます。その美しさに思わず息を呑む数秒間です。
望遠鏡から目を離しても、しばらく呆然としていたのでした。曲の終わりでペダルを余韻なく切るのは、望遠鏡から目を離す瞬間を表現したのではないでしょうか。
さんかく座をこのような天体観測のワンシーンと考えたのには、もう一つ理由があります。曲の冒頭に「最初から最後まで p で弾くように」との指示があるからです。望遠鏡を覗き込み、レンズを通して見る天体は、とても小さく遠くに感じます。 シサスクの曲の演奏では星に集中し、ピントを合わせていくような意識も必要なのではないでしょうか。pの繊細なタッチでゴージャスな M33を表現する数秒間では、300万年前に存在した M33からの光を捉えているのだということを実感できるかもしれません。
上の図の六角形は「冬の大六角」または「冬のダイヤモンド」と呼ばれています。六角形の中にある三角形は「冬の大三角」です。六角形はぎょしゃ座のカペラ、ふたご座のカストルとポルックス、こいぬ座のプロキオン、おおいぬ座のシリウス、オリオン座のリゲル、そしておうし座のアルデバランを繋いでいます。さんかく座はこの辺りを目安に、アンドロメダ銀河 M31 だけでなく、おうし座のプレアデス星団、ぎょしゃ座のカペラからも見当をつけて探すとよいでしょう。
ところで、さんかく座の「三つのボタン」の話はこれだけでは終わりません。シサスクはさんかく座の曲全体を「第一のビッグ・ボタン」1st. Big Buttonとしており、第二のビッグ・ボタン 2nd. Big Button以降があることを仄めかしています。そしてさんかく座の冒頭、1つ目のボタン 1st. Buttonのテーマ(譜例)は、謎解きのヒントともなりますので覚えておいてください。楽譜の左上に小さく書き添えられているのは、シサスクによるさんかく座の星座図です。
【譜例】
The Hydrogen Clouds of M33
ゴージャスな渦巻銀河 M33は300万光年にあり、さんかく座銀河 Triangulum Galaxy とも呼ばれています。直径は5万光年以上、 アンドロメダ銀河 M31と私たちの天の川銀河に次ぐ大きさで、アンドロメダ銀河の衛星であるとも考えられています。次にアンドロメダ銀河と並んでいる画像を見てみましょう。
中央の星はアンドロメダ座で最も明るい β星「ミラク」Mirach で、200光年にあります。ミラクを中心に点対称に並ぶ アンドロメダ銀河 M31(左) は 250万光年、さんかく座銀河M33(右)は 300万光年にあります。重力で引き合うのは M31と M33だけでなく、実は天の川銀河も含まれ、 3つの銀河は数十億年後に接近、ついには合体するのではないかと予測されています。
フランスのエンパリ高原 Plateau d' Emparis(標高2400 m)の夜空の写真に、さんかく座銀河 M33と アンドロメダ銀河 M31を見つけましたので、周囲の星を結び、編集してみました。カシオペヤ座、アンドロメダ座、一部しか見えていないペルセウス座に比べ、さんかく座がいかに小さいかもわかります。
NGC 925 (Wikipedia & Mt. LEMMON SKYCENTER)
NGC 925は 2000万光年にある棒渦巻銀河です。シサスクはさんかく座の天体として、 M33以外に NGC 925と NGC 784を記していますが、NASAギャラリーには M33 以外の天体画像は見つかりませんでした。アメリカのレモン山天文台 Mt. Lemmon Sky Cernter Observatoryのギャラリーに美しい NGC 925がありましたので、挙げておきたいと思います。形がやや歪んでいるのは、過去に別の銀河との相互作用があったためではないかと考えられています。
シサスクのさんかく座のイメージは「三つのボタン」。
さんかく座を構成する α星には、アラビア語で「三角の頭」を意味する Mothallah(モサラー)という固有名があり、β星はさんかく座の星の中で一番明るく、残るもう一つは 実は γ星と δ星の 2つあり、しかも δ星は連星ということもあって、3つの星が集まっているようにも見えます。
シサスクのさんかく座の音楽は 17小節(演奏時間 1分強)しかありません。三角形を形作る 3つの星を「一つ目のボタン」から三つ目まで表示し、それぞれ 5小節ずつ全 15小節、続いて「さんかく座銀河」M33を 2小節で表すという構成になっています。見応えある M33をたったの 2小節で終えてしまうなんて!と思われるかもしれませんね。そこで次のような展開がありえるのではないかと考えてみました。
1つ見つけては、望遠鏡の角度や倍率を変えます。(フェルマータで音楽が止まる)
【二つ目】
最後に M33 に焦点を合わせます。その美しさに思わず息を呑む数秒間です。
望遠鏡から目を離しても、しばらく呆然としていたのでした。曲の終わりでペダルを余韻なく切るのは、望遠鏡から目を離す瞬間を表現したのではないでしょうか。
さんかく座をこのような天体観測のワンシーンと考えたのには、もう一つ理由があります。曲の冒頭に「最初から最後まで p で弾くように」との指示があるからです。望遠鏡を覗き込み、レンズを通して見る天体は、とても小さく遠くに感じます。 シサスクの曲の演奏では星に集中し、ピントを合わせていくような意識も必要なのではないでしょうか。pの繊細なタッチでゴージャスな M33を表現する数秒間では、300万年前に存在した M33からの光を捉えているのだということを実感できるかもしれません。
上の図の六角形は「冬の大六角」または「冬のダイヤモンド」と呼ばれています。六角形の中にある三角形は「冬の大三角」です。六角形はぎょしゃ座のカペラ、ふたご座のカストルとポルックス、こいぬ座のプロキオン、おおいぬ座のシリウス、オリオン座のリゲル、そしておうし座のアルデバランを繋いでいます。さんかく座はこの辺りを目安に、アンドロメダ銀河 M31 だけでなく、おうし座のプレアデス星団、ぎょしゃ座のカペラからも見当をつけて探すとよいでしょう。
ところで、さんかく座の「三つのボタン」の話はこれだけでは終わりません。シサスクはさんかく座の曲全体を「第一のビッグ・ボタン」1st. Big Buttonとしており、第二のビッグ・ボタン 2nd. Big Button以降があることを仄めかしています。そしてさんかく座の冒頭、1つ目のボタン 1st. Buttonのテーマ(譜例)は、謎解きのヒントともなりますので覚えておいてください。楽譜の左上に小さく書き添えられているのは、シサスクによるさんかく座の星座図です。
【譜例】
コメント