双子座 Gemini
0次元 Zero Dimension
NGC 2392: Double-Shelled Planetary Nebula
5000光年にある惑星状星雲 NGC 2392は星の死にゆく姿です。10000年前より、強力な風によって中央星から粒子が放出しています。それが外側にオレンジ色の不思議な形を作り出しているのです。エスキモーの毛皮のフードのイメージから「エスキモー星雲」 Eskomo Nebulaとも呼ばれています。
NGC 2392: Double-Shelled Planetary Nebula
5000光年にある惑星状星雲 NGC 2392は星の死にゆく姿です。10000年前より、強力な風によって中央星から粒子が放出しています。それが外側にオレンジ色の不思議な形を作り出しているのです。エスキモーの毛皮のフードのイメージから「エスキモー星雲」 Eskomo Nebulaとも呼ばれています。
The Jellyfish Nebula
これは 5000光年にある散光星雲 IC 443で「クラゲ星雲」 Jellyfish Nebula と呼ばれています。超新星爆発を起こした恒星の破片が気泡状に膨張したもので、爆発の光は 3万年以上前に初めて地球に到達したとのことです。
ここには散開星団が 2つ写っています。左側で青い光を放っているのは 1億5000万歳と比較的若い M35で、約2500個の星が 2800光年の彼方に 30光年にわたって 広がっています。右下で微細な光を放っているのは NGC 2158で、 M35より 4倍遠く、10倍古い星団とのこと。黄色い星は古い星であることを表しています。NGC 2158では青く若い星はすでに命を終えているのです。
4300光年にある惑星状星雲 NGC 2371は死にゆく恒星の姿です。外層が剥ぎ取られ、かつての赤色巨星の核から放出されたガスの雲が膨張し、このような形状になったとのことです。中心星がくっきり見えていますが、周囲はこの中心星からの紫外線放射によって光っています。現在、超高温となっている星雲は今後、数千年で宇宙空間に消滅し、中心星は徐々に冷えて白色矮星になります。
Gemini Stars Pollux and Castor
ふたご座の双子として有名な 2つの明るい星、 ポルックス Pollux(左)とカストル Castor(右)です。古代バビロニア、ギリシャ、ローマの神話では、カストルとポルックスは双子の兄弟として描かれました。2つの星の特徴をまとめてみましょう。
【ポルックス Pollux 】・赤色巨星・全天 21の 1等星の一つ・33光年・太陽の 2倍の質量・Pollux bという木星の 2.3倍の大きさの太陽系外惑星が周囲を回っている。
【カストル Castor 】・太陽と同じ主系列星・2等星・51光年・太陽の 2.7倍の質量・ 6つの恒星からなる 6連星 Castor A、Castor B それぞれがCastor Aa、Ab、Ba、Bbという分光連星をもつ。
シサスクによるふたご座の星座図は、9つの恒星を四角く繋いだだけのシンプルなものです。赤と青に色分けしたように、シサスクはカストル側、ポルックス側に分け、音楽を構成しました。大きく Aと Bに分かれる各部の内容は次のようになっています。
A 全42小節 ♩=80 Tempo rubato
① 1〜18小節(全18小節):連打音の打鍵数 116回
② 19〜36小節(全18小節):連打音の打鍵数 116回
③ 37〜42小節(全6小節):連打音の打鍵数 18回
B 全84小節 ♩=200 Presto
① 43〜80小節(全38小節) 24小節間で上昇 → 14小節間で下降
② 81〜114小節(全34小節) 22小節間で上昇 → 12小節間で下降
③ 115〜126小節(全12小節):終結部(上昇)
【A】 ふたご座の曲は次のように、右手が連打音で始まります。(譜例1)
【譜例1】
連打は音を変えながら繰り返されます。それぞれ何回連打されるか数えてみましたら、驚きの結果に・・。
この図はシサスクの星座図を簡略化したものです。【A】の前半をカストル側(青)、後半をポルックス側(赤)とすると、連打数はそれぞれの星が向かい合って対応するように一致していたのです。下の表で例えば ① の α星 Castor は、Fis(ファ#)が 36回、C(ド)が 5回連打されますが、向かい合う ②の β星 Pollux も36回と5回という連打数になっています。
向かい合う星は一方の音が共通(異名同音を含む)しており、四角形の対辺まで意識した配置を音楽で表していたのです。⑨の星は独りぼっちに見えますが、G(ソ)は Pollux の音、Fis(ファ#)は Castor の音ですから、ちゃんと繋がっています。細かい部分まで抜け目なく作られていることに脱帽です。
【A】では左手も含め、以下の音域の音がすべて使われています。(譜例2) 【譜例2】
最高音 Fis(ファ#)を弾くのはなんと左手です。Pollux の G(ソ)の連打を乗り越えていきます。(譜例3)
【譜例3】
最低音 Es(ミ♭)は最後の σ星の連打が始まる時に現れます。(譜例4)
【譜例4】
【B】
【A】には強弱の変化がありましたが、【B】は初めから終わりまで全て ff 、 ♩=200 という全力疾走で演奏します。終結部を除く 2つの部分は、まるで双子のように良く似ているので、1回目、2回目としました。
🔹1回目 前半:三連符の分散和音で半音階的にじわじわ上昇。鍵盤の端から端まで全ての 音を使っている。 後半:三連符の分散和音のまま、全音階的に下降。 終わりで「手を振りなさい」との指示が!?(譜例5)
🔹2回目 前半:三連符の分散和音でじわじわ上昇。音域は1回目よりやや狭く H(シ)から H(シ)まで使っている。クラスターも使い、音が巨大な塊に!(譜例6) 後半:三連符の分散和音のまま「全音音階」で下降。
🔹終結部 三連符とオクターブで駆け上がり、右手は鍵盤の最高音まで使い切る(譜例7)
【譜例5】 Shake your right hand!は「手の疲労を取りなさい」の意味と解釈しています。 練習番号「4」から 2回目(【B】の後半)が始まります。
【譜例6】 1つ目のクラスターは手のひらでこのオクターブの範囲を打ちます。 2つ目のクラスターは前腕を使って、より広い範囲を打鍵します。 右手も ff で引き続けているため、広い音域を全身で弾くといった格好です。
【譜例7】 最後は右手の最高音までの上昇に伴い、左手も右手の領域まで上がっていき、5本の指で 6つの音を捉えるクラスターのような和音になっています。
次元とは空間の広がりを示すための指標ですが、0次元は「点」、1次元は「線」、2次元は「面」、3次元は「立体」。私たちの住む世界は3次元です。 宇宙空間は真空であるといいますが、真空とは何もないという意味ではないそうです。何もないように見えるけれど、高いエネルギーを持った場所ではそのエネルギーが粒子に変わることもあるそうです。でも時にはそれが消えてしまうこともあるとか。粒子が小さければ儚い運命をたどり、大きくて非常に高いエネルギーを備えたスーパー粒子であれば急膨張していくと考えられています。急膨張のイメージとは、本来超えられないような高い山を次々越えていく(専門的には量子論の「トンネル効果」という)感じだといいます。 シサスクのふたご座の音楽は0次元、つまり「点」(粒子)が膨張を始めるところからスタートします。前半は連打音がまさに「点」を表し、ふたご座の恒星がどのような位置関係にあるかも示しながら、個々の恒星の誕生や存在について確かめたのかもしれません。後半ではスーパー粒子となった「点」が山を越え、谷を越え、はち切れんばかりに膨張する姿を表しているのではないでしょうか。曲の最後では爆発して残骸を飛び散らし、惑星状星雲に姿を変えたでしょうか。あるいは超新星爆発が起きたでしょうか。 後半を ffのみ Prestoですべての鍵盤を弾く、しかも二度( "双子")の山越え。「0次元」スーパー粒子膨張体験で右手は使い物にならなくなるかもしれません。覚悟で臨んでください。
Geminids from Gemini
12月の大流星群といえば「ふたご座流星群」。カストルとポルックスから飛来しているように見えますが「三次元的には」ふたご座が放射点ではないのだとか・・?? 次元の話、ここは割愛させていただきます give up... これは 2020年 12月14日に撮影された多くの画像を合成したもので、200個以上の流星が写し出されているとのことです。しかしながら、流星の「線」より無数の「点」が気になるようになってしまいました。私たちの宇宙も「点」から生まれたようですが、膨張したスーパー粒子=宇宙の内部にも「点」(星)がいっぱいありますよね・・考えたら頭がおかしくなりそうです。
4300光年にある惑星状星雲 NGC 2371は死にゆく恒星の姿です。外層が剥ぎ取られ、かつての赤色巨星の核から放出されたガスの雲が膨張し、このような形状になったとのことです。中心星がくっきり見えていますが、周囲はこの中心星からの紫外線放射によって光っています。現在、超高温となっている星雲は今後、数千年で宇宙空間に消滅し、中心星は徐々に冷えて白色矮星になります。
ふたご座の双子として有名な 2つの明るい星、 ポルックス Pollux(左)とカストル Castor(右)です。古代バビロニア、ギリシャ、ローマの神話では、カストルとポルックスは双子の兄弟として描かれました。2つの星の特徴をまとめてみましょう。
【ポルックス Pollux 】
・赤色巨星
・全天 21の 1等星の一つ
・33光年
・太陽の 2倍の質量
・Pollux bという木星の 2.3倍の大きさの太陽系外惑星が周囲を回っている。
【カストル Castor 】
・太陽と同じ主系列星
・2等星
・51光年
・太陽の 2.7倍の質量
・ 6つの恒星からなる 6連星
Castor A、Castor B それぞれがCastor Aa、Ab、Ba、Bbという分光連星をもつ。
シサスクによるふたご座の星座図は、9つの恒星を四角く繋いだだけのシンプルなものです。赤と青に色分けしたように、シサスクはカストル側、ポルックス側に分け、音楽を構成しました。大きく Aと Bに分かれる各部の内容は次のようになっています。
A 全42小節 ♩=80 Tempo rubato
① 1〜18小節(全18小節):連打音の打鍵数 116回
② 19〜36小節(全18小節):連打音の打鍵数 116回
③ 37〜42小節(全6小節):連打音の打鍵数 18回
B 全84小節 ♩=200 Presto
① 43〜80小節(全38小節)
24小節間で上昇 → 14小節間で下降
② 81〜114小節(全34小節)
22小節間で上昇 → 12小節間で下降
③ 115〜126小節(全12小節):終結部(上昇)
【A】
ふたご座の曲は次のように、右手が連打音で始まります。(譜例1)
【譜例1】
連打は音を変えながら繰り返されます。それぞれ何回連打されるか数えてみましたら、驚きの結果に・・。
向かい合う星は一方の音が共通(異名同音を含む)しており、四角形の対辺まで意識した配置を音楽で表していたのです。⑨の星は独りぼっちに見えますが、G(ソ)は Pollux の音、Fis(ファ#)は Castor の音ですから、ちゃんと繋がっています。細かい部分まで抜け目なく作られていることに脱帽です。
【A】では左手も含め、以下の音域の音がすべて使われています。(譜例2)
【譜例2】
最高音 Fis(ファ#)を弾くのはなんと左手です。Pollux の G(ソ)の連打を乗り越えていきます。(譜例3)
【譜例3】
最低音 Es(ミ♭)は最後の σ星の連打が始まる時に現れます。(譜例4)
【譜例4】
【B】
【A】には強弱の変化がありましたが、【B】は初めから終わりまで全て ff 、 ♩=200 という全力疾走で演奏します。終結部を除く 2つの部分は、まるで双子のように良く似ているので、1回目、2回目としました。
🔹1回目
前半:三連符の分散和音で半音階的にじわじわ上昇。鍵盤の端から端まで全ての
音を使っている。
後半:三連符の分散和音のまま、全音階的に下降。
終わりで「手を振りなさい」との指示が!?(譜例5)
🔹2回目
前半:三連符の分散和音でじわじわ上昇。音域は1回目よりやや狭く H(シ)から
H(シ)まで使っている。クラスターも使い、音が巨大な塊に!(譜例6)
後半:三連符の分散和音のまま「全音音階」で下降。
🔹終結部
三連符とオクターブで駆け上がり、右手は鍵盤の最高音まで使い切る(譜例7)
【譜例5】
Shake your right hand!は「手の疲労を取りなさい」の意味と解釈しています。
練習番号「4」から 2回目(【B】の後半)が始まります。
【譜例6】
1つ目のクラスターは手のひらでこのオクターブの範囲を打ちます。
2つ目のクラスターは前腕を使って、より広い範囲を打鍵します。
右手も ff で引き続けているため、広い音域を全身で弾くといった格好です。
【譜例7】
最後は右手の最高音までの上昇に伴い、左手も右手の領域まで上がっていき、5本の指で 6つの音を捉えるクラスターのような和音になっています。
次元とは空間の広がりを示すための指標ですが、0次元は「点」、1次元は「線」、2次元は「面」、3次元は「立体」。私たちの住む世界は3次元です。
宇宙空間は真空であるといいますが、真空とは何もないという意味ではないそうです。何もないように見えるけれど、高いエネルギーを持った場所ではそのエネルギーが粒子に変わることもあるそうです。でも時にはそれが消えてしまうこともあるとか。粒子が小さければ儚い運命をたどり、大きくて非常に高いエネルギーを備えたスーパー粒子であれば急膨張していくと考えられています。急膨張のイメージとは、本来超えられないような高い山を次々越えていく(専門的には量子論の「トンネル効果」という)感じだといいます。
シサスクのふたご座の音楽は0次元、つまり「点」(粒子)が膨張を始めるところからスタートします。前半は連打音がまさに「点」を表し、ふたご座の恒星がどのような位置関係にあるかも示しながら、個々の恒星の誕生や存在について確かめたのかもしれません。後半ではスーパー粒子となった「点」が山を越え、谷を越え、はち切れんばかりに膨張する姿を表しているのではないでしょうか。曲の最後では爆発して残骸を飛び散らし、惑星状星雲に姿を変えたでしょうか。あるいは超新星爆発が起きたでしょうか。
後半を ffのみ Prestoですべての鍵盤を弾く、しかも二度( "双子")の山越え。「0次元」スーパー粒子膨張体験で右手は使い物にならなくなるかもしれません。覚悟で臨んでください。
12月の大流星群といえば「ふたご座流星群」。カストルとポルックスから飛来しているように見えますが「三次元的には」ふたご座が放射点ではないのだとか・・?? 次元の話、ここは割愛させていただきます give up...
これは 2020年 12月14日に撮影された多くの画像を合成したもので、200個以上の流星が写し出されているとのことです。しかしながら、流星の「線」より無数の「点」が気になるようになってしまいました。私たちの宇宙も「点」から生まれたようですが、膨張したスーパー粒子=宇宙の内部にも「点」(星)がいっぱいありますよね・・考えたら頭がおかしくなりそうです。
コメント