24. はちぶんぎ座 Octans

八分儀座  Octans

停滞  Stagnation


 八分儀とは、星の高度を正確に測ることのできる機器で、航海の時、船が揺れても正確に測ることができるとのことです。四分儀、六分儀という機器もあり、いずれも星座になっていましたが、現在、星座名として残っているのは、ろくぶんぎ座はちぶんぎ座です。

 はちぶんぎ座において重要な点は、その領域内に「天の南極」があることです。シサスクの自筆譜にも、はちぶんぎ座のそばに天の南極の位置が示されています。

 上の画像は南極のマーティン・A・ポメランツ天文台 Martin A. Pomerantz Observatory (MAPO) の屋上カメラから撮影された星の軌跡で、グリーンのオーロラも写っています。

 以前、こと座の「ベガ」が約12000年後、今の北極星(こぐま座)に代わり、新しい北極星になると書きました。ではその時、天の南極はどうなると思いますか? 現在のように南極星は存在しないままでしょうか。いいえ!なんと、りゅうこつ座の「カノープス」が南極星になるそうです。


 シサスクのはちぶんぎ座のイメージは「停滞」。

 シサスクははちぶんぎ座について、「天の南極を示す神秘の星座である」とも書いています。地平線に沈むことのない、天頂に留まる星座であることを覚えておきたいですね。

 はちぶんぎ座の音楽では、カメレオン座を引き継ぐかのように、三連符の速い音型が使われ、パッセージは大きな弧を描いています。特徴的なのは、冒頭 2小節が何度も繰り返され、その都度、フェルマータで停止することです。「すべてのフェルマータはできるだけ長く保つように」との注釈があります。拍子記号はなく、テンポは Allegro と Largo が交互に繰り返されます。

 はちぶんぎ座から周囲を廻る星々はどんな風に見えるでしょうか。不意にオーロラや流星が横切ることもあるでしょう。停止(フェルマータ)時には、見える景色が変化したり、想像力が深まる思いがすることでしょう。



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