25. テーブルさん座 Mensa

テーブル山座  Mensa

野火 - 浄化  Bush Fire - Clarification

Milky Way Over Quiver Tree Forest

 テーブルさん座という名前は、フランスの天文学者ラカーユ Abbé Nicolas-Louis de Lacaille(1713-62)によって、南アフリカ、ケープタウン近くに実在するテーブル山(テーブルマウンテン)に因み、名付けられました。テーブル山は垂直に切り立った崖、山頂が約 3キロにわたって平らなことが特徴です。ラカーユは 1751年から 52年にかけて、ケープタウンの喜望峰で南半球の星を観測、ここで南天の星図を作ったそうです。ラカーユが新しく設定した星座は、テーブルさんの他はちぶんぎコンパスとけいレチクルがかけんびきょうじょうぎちょうこくぐちょうこくしつぼうえんきょうポンプらしんばんろ座の 14星座です。

 上の画像はアフリカ南西部ナミビアの星空です。ラカーユもこのような風景を見ていたでしょうか。左の方に 2つのぼやけた雲のように見えるのは、大マゼラン銀河と小マゼラン銀河です。テーブルさん座の領域には大マゼラン銀河の一部が入り込んでいます。



 これは大マゼラン銀河の画像です。

 シサスクのテーブルさん座のイメージは「野火 - 浄化」。

 オーストラリアでは夏になると、野火(ブッシュファイア)が発生します。シサスクは大マゼラン銀河を野火に見立てて物語を綴っています。テーブル山の形はもしかしたら、オーストラリアのエアーズロックAyers Rockにも重なるかもしれません。




 エアーズロックは一枚岩で、大地あるいは地球のへそとも呼ばれています。ここに 1万年以上前から住み続けている先住民アボリジニの聖地でもあり、彼らはここをウルル Uluruと呼んでいます。この画像はウルルの上空にそびえ立つ天の川の中心部分です。



 これは 2001年に撮影されたウルル上空のしし座流星群とマゼラン銀河です。テーブルさん座は目立たない星座なので、この画像から探すのは難しいですが、大マゼラン銀河の近くに写っていることでしょう。
 
 シサスクのテーブルさん座の音楽では、ある楽器の音がリズムを取っているのではないかと私は考えています。その楽器とはアボリジニの楽器、デジュリドゥ Didgeridooです。アボリジニが 1000年以上前に作ったといわれ、シロアリに喰われて筒状になったユーカリの木で出来ています。シサスクはオーストラリアでディジュリドゥを手に入れ、エストニアに持ち帰りました。吹き方も習ったのでしょう。私の目の前でアボリジニになり切ったように吹いてくれたことがあります。

 ディジュリドゥはアボリジニが精霊と交信する儀式で使用され、循環呼吸による息を吹き込みながら唇を震わせ、倍音の豊かな太く低い音で、ドゥクドゥクと独特のリズムを刻みます。テーブルさん座の ド#(C#)と レ(D)の低音の刻みはディジュリドゥの感じを表しているように思えてなりません。曲の終わりでは大地の音楽がフェイドアウトし、天上の音楽に昇華していくように終わります。アボリジニの聖地ウルルと星空、大自然を想像しながら、神聖な気持ちで演奏したいですね。





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