30. エリダヌス座 Eridanus

エリダヌス座  Eridanus

前進 非物質化 ”虹の彼方へ”  
Progression - Dematarialisation "Journey Beyond the Rainbow"

Elliptical Galaxy NGC 1132

 エリダヌスとは、ギリシャ神話に登場する川の名前(イタリアで最長のポー川とされる)です。この星座の南の端で最も明るく輝く 1等星はアケルナル(α星)で、アラビア語で「河の果て」を意味し、地球から140光年の距離にあります。
 上の画像、エリダヌス座にある楕円銀河 NGC 1132は 3億光年も離れています。楕円銀河は渦巻構造を持たない銀河ですが、背景の銀河群が透けて見えて、なんとも美しい光景です。




  こちらは油彩のような渦巻銀河です。NASAのページの表現では、エリダヌス(川)のほとりにあるそうです。




 渦巻の腕が特徴的なこの画像 NGC 1300は、NASAの自信作のようです。このような鮮明な画像を得ることにより、銀河の形、大きさなどが綿密に調査されます。




 これは大きな銀河が小さな銀河を共食いしようとしています。共食い・・というべきか、吸収というべきか、いずれにせよ、それによって銀河が成長するのだそうで、天の川銀河でも同様のことが起きています。大きな銀河 NGC 1532の上にぼんやりと縦に写っている銀河 NGC 1531は、やがて無くなるので、貴重なペアの画像ということになります。

 エリダヌス座の領域はすべての星座の中で最も大きいということもあり、存在する銀河の数も非常に多いのですが、シサスクが自筆の星座に書き込んでいるのは、その全てではなく、ここまでにご紹介したものは含まれていません。ここからは、シサスクがピックアップしている銀河で、NASA画像のあるものをご紹介します。シサスクがどの銀河に注目しているかがわかりますね。




 この銀河は環状銀河 Ring Galaxyとも呼ばれているようですが、二重棒渦巻銀河という複雑な構造で注目されています。内側と外側では住んでいる星たちの年齢が異なるそうです。



 エリダヌス座の超巨大銀河といわれる NGC 1232は、直径20万光年、1兆億個もの恒星が存在するそうです。エリダヌスの川が蛇行した窪みあたり(ろ座の領域に接している)にある「エリダヌス銀河団」を代表する銀河の一つ。完璧な渦の美しさに心を奪われます。

 シサスクのエリダヌス座のイメージは「前進  -  非物質化  ”虹の彼方へ” 」。

 非物質世界」という言葉があります。それは宇宙など遠い異次元の世界のほか、私たちの感情、思考、意識など、見たり触れたりできないもの、つまり心の世界を意味します。宇宙は無限、永遠と言われますが、人間の心も無限なのです。虹の彼方はおそらく非物質世界。しかしなぜ、エリダヌス座のイメージが「虹の彼方への前進」なのでしょうか。
 私はエリダヌス座の領域で、これほど多くの銀河に出会うとは思っていませんでした。宇宙に流れる長いエリダヌス川をアケルナル(河の果て)に向かって前進するとき、思いもよらない光景が待っているに違いありません。
 子供の頃、虹の橋を渡ると、どこへ行けるのだろうと想像したことが誰しもあるかと思います。エリダヌス川にかかる虹はどこまで行っても “銀河の虹” なのだと空想してみてください。心は現実から離れ、肉体はふわっと軽くなり、非物質世界に浮遊することができるでしょう。


 シサスクのエリダヌス座の音楽は、「南半球の星空」全曲の中で最も長大です。

 琥珀が煌めくようなパッセージは、川の流れを表現しているようです。ギリシャ神話では、ゼウスに殺された太陽神ヘリウスの息子の死を悲しんだ姉妹の涙がエリダヌス川に落ち、琥珀に変わったという話があり、シサスクも付随物語に引用しています。時々少し立ち止まって、銀河を一つ一つ確認するかのような場面もあります。曲の後半からは、左の上腕で鍵盤を無音で抑えて、音楽を不思議な響きの中に漂わせたり、左手指を弦の上に置き、右手で鍵盤を打つ内部奏法で、コンコンと溢れ出る湧水のような、あるいは星々が生まれ出るような音を表出します音楽によるエリダヌス川の旅は徐々にフェイドアウトとなり、虹の彼方へと消えていきます。



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