水蛇座 Hydrus
鮮明なコントラスト Sharp Contrasts
The Porpoise Galaxy from Hubble
この画像の水色の部分は「イルカ Porpoise 銀河」とも呼ばれる不思議な形の銀河 NGC 2936 です。200~300万年前は普通の渦巻銀河でしたが、右下の白い卵のような銀河 NGC 2927 の重力のせいで、形が歪んでしまったとのことです。今後、10億年以内にこの 2つの銀河は一つになるだろうと考えられています。
みずへび座は Hydrus、うみへび座は Hydra 。NASA では Hydrus ではヒットせず、Water Snake で検索したところ、みずへび座の領域にこの「イルカ銀河」が見つかりました。
シサスク自筆(黒字、黒線)のみずへび座
みずへび座の星座の形は三角形ですが、水蛇の姿は青い点線に表したラインに隠れています。三角形の頂点が蛇の頭です。南北には、天の南極とエリダヌス座のアケルナル、東西には、大小マゼラン銀河があります。
これはチリのアタカマ砂漠 Atacama desert の天と地の共演のような光景です。天の川の右に 2つの雲のように浮かぶ大マゼラン銀河と小マゼラン銀河の間に、みずへび座が写っています。水蛇の頭の星だけは残念ながら画像から外れていますが、みずへび座がどれほど素晴らしい場所に位置しているかが、これでお分かりいただけるでしょう。
シサスクのみずへび座のイメージは「鮮明なコントラスト」。
何と対比としているかの答えは、曲の中にもあります。うみへび座です。《北半球の星空》の「うみへび座」の旋律の一部が、突如そのまま挿入され、水中に住む蛇の存在がもう一つあったことを思い起こさせます。巨大なうみへび座に比べ、みずへび座はとても小さな星座です。しかし星の明るさという点では、みずへび座の方が見つけやすいとのことです。
しかし、コントラストはそれだけではないでしょう。私はアボリジニの虹蛇伝説とも関係していると思っています。シサスクが《銀河巡礼〜南半球の星空》の作曲のため、オーストラリアのシドニーを訪れた際、最初に書いた曲は「みずへび座」でした。みずへび座はアボリジニが最も崇拝する世界の創造神、虹蛇の姿なのです。雨を降らせる力を持ち、通った跡には谷や川ができ、雨季には空に輝くという虹蛇のアボリジニ伝説を知って、シサスクの創作意欲がどれほど掻き立てられたことでしょう。アボリジニたちが現在でも(アボリジニアートとして)描くことのある虹蛇の姿は、背景とのコントラストが鮮明です。加えて普通には見えない部分をも、想像力豊かに描き出しています。
シサスクのみずへび座の音楽もアボリジニアートに負けず、独特です。怪しげな蛇の雰囲気を漂わせるテーマは、急なパッセージや、緊張が走るような f pp(フォルテ・ピアニシモ)の強弱変化を特徴としたテーマと切り替わります。その後、エネルギーを地下に溜めるようなスタッカートの音楽に変わったと思ったら、天上のうみへび座が鎌首をもたげる(《北半球の星空》の「うみへび座」の主題が挿入される)など、予期せぬ展開とコントラストに驚かされます。これは単なる譜面上の遊びではないでしょう。虹蛇伝説に触れたシサスクが、大自然の景観を産んだ宇宙に改めて畏敬の念を抱きつつ、音楽によって天と地の「対比」を表現したかったのではないでしょうか。
この画像の水色の部分は「イルカ Porpoise 銀河」とも呼ばれる不思議な形の銀河 NGC 2936 です。200~300万年前は普通の渦巻銀河でしたが、右下の白い卵のような銀河 NGC 2927 の重力のせいで、形が歪んでしまったとのことです。今後、10億年以内にこの 2つの銀河は一つになるだろうと考えられています。
みずへび座は Hydrus、うみへび座は Hydra 。NASA では Hydrus ではヒットせず、Water Snake で検索したところ、みずへび座の領域にこの「イルカ銀河」が見つかりました。
シサスク自筆(黒字、黒線)のみずへび座
みずへび座の星座の形は三角形ですが、水蛇の姿は青い点線に表したラインに隠れています。三角形の頂点が蛇の頭です。南北には、天の南極とエリダヌス座のアケルナル、東西には、大小マゼラン銀河があります。
これはチリのアタカマ砂漠 Atacama desert の天と地の共演のような光景です。天の川の右に 2つの雲のように浮かぶ大マゼラン銀河と小マゼラン銀河の間に、みずへび座が写っています。水蛇の頭の星だけは残念ながら画像から外れていますが、みずへび座がどれほど素晴らしい場所に位置しているかが、これでお分かりいただけるでしょう。
シサスクのみずへび座のイメージは「鮮明なコントラスト」。
何と対比としているかの答えは、曲の中にもあります。うみへび座です。《北半球の星空》の「うみへび座」の旋律の一部が、突如そのまま挿入され、水中に住む蛇の存在がもう一つあったことを思い起こさせます。巨大なうみへび座に比べ、みずへび座はとても小さな星座です。しかし星の明るさという点では、みずへび座の方が見つけやすいとのことです。
何と対比としているかの答えは、曲の中にもあります。うみへび座です。《北半球の星空》の「うみへび座」の旋律の一部が、突如そのまま挿入され、水中に住む蛇の存在がもう一つあったことを思い起こさせます。巨大なうみへび座に比べ、みずへび座はとても小さな星座です。しかし星の明るさという点では、みずへび座の方が見つけやすいとのことです。
しかし、コントラストはそれだけではないでしょう。私はアボリジニの虹蛇伝説とも関係していると思っています。シサスクが《銀河巡礼〜南半球の星空》の作曲のため、オーストラリアのシドニーを訪れた際、最初に書いた曲は「みずへび座」でした。みずへび座はアボリジニが最も崇拝する世界の創造神、虹蛇の姿なのです。雨を降らせる力を持ち、通った跡には谷や川ができ、雨季には空に輝くという虹蛇のアボリジニ伝説を知って、シサスクの創作意欲がどれほど掻き立てられたことでしょう。アボリジニたちが現在でも(アボリジニアートとして)描くことのある虹蛇の姿は、背景とのコントラストが鮮明です。加えて普通には見えない部分をも、想像力豊かに描き出しています。
シサスクのみずへび座の音楽もアボリジニアートに負けず、独特です。怪しげな蛇の雰囲気を漂わせるテーマは、急なパッセージや、緊張が走るような f pp(フォルテ・ピアニシモ)の強弱変化を特徴としたテーマと切り替わります。その後、エネルギーを地下に溜めるようなスタッカートの音楽に変わったと思ったら、天上のうみへび座が鎌首をもたげる(《北半球の星空》の「うみへび座」の主題が挿入される)など、予期せぬ展開とコントラストに驚かされます。これは単なる譜面上の遊びではないでしょう。虹蛇伝説に触れたシサスクが、大自然の景観を産んだ宇宙に改めて畏敬の念を抱きつつ、音楽によって天と地の「対比」を表現したかったのではないでしょうか。
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