竜骨座 Carina
一陣の風 Single Gust
Atacama's Cloudy Night
これは、チリのアタカマ砂漠を嵐の雲が過ぎ去った時の映像です。黒雲の上には天の川が広がり、右下には大マゼラン銀河、その右には、りゅうこつ座(あるいはアルゴ船座)の一等星 カノープスが輝いています。りゅうこつ(竜骨)とは船首から船尾を貫く船の骨組みとなる部材で、カノープスは舵(かじ)の部分を示しています。
Stars Over Easter Island
イースター島のモアイ像の左に写っている青い星は、おおいぬ座のシリウス、右に写っている星はカノープスです。全天一明るい星シリウスは、アルゴ船座を探し出す目印になるでしょう。一方、カノープスは全天で 2番目に明るい星でもあります。左から一直線に並ぶシリウス、カノープス、大マゼラン銀河にモアイ像が溶け込むアングルに、モアイ像の謎も解けるのではないかなどと思ってしまうような神秘的な画像です。
The Great Carina Nebula
りゅうこつ座はラテン語で「カリーナ Carina」といいますが、この画像はこの星座の領域で最も有名な「イータカリーナ星雲 Carina Nebula, Eta Carina Nebula」です。7500光年にあるこの星雲は、地球から最も近いところにある大質量の星の誕生地、生息地といわれています。モアイ像ではありませんが謎も多く、変光星や星形成についての研究対象として注目されています。
「イータカリーナ星雲」は、NGC 3372 としても知られ、オリオン大星雲の 4倍の大きさと明るさを持ち、肉眼で見える散光星雲としては最も大きいものの一つです。
Doomed Star Eta Carinae
「イータカリーナ星雲」には、天の川銀河の中で最大級の質量と光度を持つ恒星がいくつもあり、その中で最も注目されているのがこの画像、りゅうこつ座 η(イータ)星です。太陽の数十倍の質量と数百万倍の明るさを持つといわれる 2つの星が連星を成しています。星は 1843年に爆発し、当時、シリウスに次いで夜空で 2番目に明るい星になったといいます。爆発で放出した物質は、内臓のようにも見える奇妙な星雲(人形星雲 Homunculus Nebula と呼ばれている)を作り出しました。その形が今は保たれているようですが、100万年後くらいには超新星爆発を起こすだろうと考えられています。
これは「イータカリーナ星雲」にある若くて明るい星の一つ、散開星団 NGC 3293 です。1500万年かかってつくられたと考えられていますが、私たちの太陽は数十億歳ですし、宇宙には 100億年を超える星もあるので、若いと言えるのですね。
Iguaçu Starry Night
遠くから位置関係を把握できる画像を見つけました。天の川には、これまで見てきたケンタウルス座の αケンタウリと βケンタウリ、みなみじゅうじ座、コールサックの右に「イータカリーナ星雲」が写っています。みなみじゅうじ座の下に、天の南極 South Celestial Pole、大小のマゼラン銀河があり、大マゼラン銀河の右にカノープス、そして遠く右端にシリウスもありますね。
上の天の川をズームアップしたような画像もありました。左に大きくみなみじゅうじ座が横たわっており、真ん中の赤い天体はケンタウルス座の領域にある IC2948(海外では「走るニワトリ星雲」、日本では「コウモリ星雲」と呼ばれている)、一番右が「イータカリーナ星雲」です。
これはシサスク自筆のりゅうこつ座です。右上にカノープス Canopus が大きく描かれています。LINNUTEE (天の川)と記された右の十字の点線は「ニセ十字」を示しています。みなみじゅうじ座の十字よりも大きく、星の明るさも揃っていて、みなみじゅうじ座と見間違うことが多いことからその名が付いています。
これはシサスクが描いたアルゴ船の 3つの星座、とも座、ほ座、りゅうこつ座の全貌です。日本語と 2つの十字の赤線や青線は私が書き入れました。一番右上におおいぬ座まで入っているのは、シリウスやエストニアで見える南半球の星空の限界線(青線)を示したかったからでしょう。ページをはみ出し、みなみじゅうじ座と天の川 LINNIUTEE をしっかり書き入れているあたり、彼の熱心さが伝わってきます。
シサスクのりゅうこつ座のイメージは「一陣の風」。
まず、冒頭のアタカマ砂漠の画像の雲の流れから、宇宙にまで巻き上がるような「一陣の風」を感じることができました。 みなみじゅうじ座からカノープスへの壮観な眺めは、アルゴ船座の全貌を教えてくれます。
アルゴ船座の音楽では、ファ F の音が引き継がれています。りゅうこつ座では、前曲のほ座から引き継がれた重音(ファ F 、ド C)の響きを終始保続させ、安定感があります。とも座とほ座の音楽では ファ F や ド C にシャープ# がついて、不穏さが漂っていました。
嵐の過ぎ去ったりゅうこつ座の音楽に、明るさはありません。北半球からは全く見ることのできない星座であることが別世界を感じさせたり、あくまで夜空をイメージさせる音楽なのだろうと思います。
因みにカノープスは、エストニアからは見ることができませんが、日本からはぎりぎり見える星です。中国では南極老人星と呼ばれ、この星を見ると寿命が延びるという言い伝えがあります。りゅうこつ座の音楽が、どことなく東洋風である理由はそこにあるかもしれません。
Atacama's Cloudy Night
これは、チリのアタカマ砂漠を嵐の雲が過ぎ去った時の映像です。黒雲の上には天の川が広がり、右下には大マゼラン銀河、その右には、りゅうこつ座(あるいはアルゴ船座)の一等星 カノープスが輝いています。りゅうこつ(竜骨)とは船首から船尾を貫く船の骨組みとなる部材で、カノープスは舵(かじ)の部分を示しています。
Stars Over Easter Island
イースター島のモアイ像の左に写っている青い星は、おおいぬ座のシリウス、右に写っている星はカノープスです。全天一明るい星シリウスは、アルゴ船座を探し出す目印になるでしょう。一方、カノープスは全天で 2番目に明るい星でもあります。左から一直線に並ぶシリウス、カノープス、大マゼラン銀河にモアイ像が溶け込むアングルに、モアイ像の謎も解けるのではないかなどと思ってしまうような神秘的な画像です。
りゅうこつ座はラテン語で「カリーナ Carina」といいますが、この画像はこの星座の領域で最も有名な「イータカリーナ星雲 Carina Nebula, Eta Carina Nebula」です。7500光年にあるこの星雲は、地球から最も近いところにある大質量の星の誕生地、生息地といわれています。モアイ像ではありませんが謎も多く、変光星や星形成についての研究対象として注目されています。
「イータカリーナ星雲」は、NGC 3372 としても知られ、オリオン大星雲の 4倍の大きさと明るさを持ち、肉眼で見える散光星雲としては最も大きいものの一つです。
Doomed Star Eta Carinae
「イータカリーナ星雲」には、天の川銀河の中で最大級の質量と光度を持つ恒星がいくつもあり、その中で最も注目されているのがこの画像、りゅうこつ座 η(イータ)星です。太陽の数十倍の質量と数百万倍の明るさを持つといわれる 2つの星が連星を成しています。星は 1843年に爆発し、当時、シリウスに次いで夜空で 2番目に明るい星になったといいます。爆発で放出した物質は、内臓のようにも見える奇妙な星雲(人形星雲 Homunculus Nebula と呼ばれている)を作り出しました。その形が今は保たれているようですが、100万年後くらいには超新星爆発を起こすだろうと考えられています。
これは「イータカリーナ星雲」にある若くて明るい星の一つ、散開星団 NGC 3293 です。1500万年かかってつくられたと考えられていますが、私たちの太陽は数十億歳ですし、宇宙には 100億年を超える星もあるので、若いと言えるのですね。
遠くから位置関係を把握できる画像を見つけました。天の川には、これまで見てきたケンタウルス座の αケンタウリと βケンタウリ、みなみじゅうじ座、コールサックの右に「イータカリーナ星雲」が写っています。みなみじゅうじ座の下に、天の南極 South Celestial Pole、大小のマゼラン銀河があり、大マゼラン銀河の右にカノープス、そして遠く右端にシリウスもありますね。
上の天の川をズームアップしたような画像もありました。左に大きくみなみじゅうじ座が横たわっており、真ん中の赤い天体はケンタウルス座の領域にある IC2948(海外では「走るニワトリ星雲」、日本では「コウモリ星雲」と呼ばれている)、一番右が「イータカリーナ星雲」です。
これはシサスク自筆のりゅうこつ座です。右上にカノープス Canopus が大きく描かれています。LINNUTEE (天の川)と記された右の十字の点線は「ニセ十字」を示しています。みなみじゅうじ座の十字よりも大きく、星の明るさも揃っていて、みなみじゅうじ座と見間違うことが多いことからその名が付いています。
これはシサスクが描いたアルゴ船の 3つの星座、とも座、ほ座、りゅうこつ座の全貌です。日本語と 2つの十字の赤線や青線は私が書き入れました。一番右上におおいぬ座まで入っているのは、シリウスやエストニアで見える南半球の星空の限界線(青線)を示したかったからでしょう。ページをはみ出し、みなみじゅうじ座と天の川 LINNIUTEE をしっかり書き入れているあたり、彼の熱心さが伝わってきます。
シサスクのりゅうこつ座のイメージは「一陣の風」。
まず、冒頭のアタカマ砂漠の画像の雲の流れから、宇宙にまで巻き上がるような「一陣の風」を感じることができました。
みなみじゅうじ座からカノープスへの壮観な眺めは、アルゴ船座の全貌を教えてくれます。
アルゴ船座の音楽では、ファ F の音が引き継がれています。りゅうこつ座では、前曲のほ座から引き継がれた重音(ファ F 、ド C)の響きを終始保続させ、安定感があります。とも座とほ座の音楽では ファ F や ド C にシャープ# がついて、不穏さが漂っていました。
嵐の過ぎ去ったりゅうこつ座の音楽に、明るさはありません。北半球からは全く見ることのできない星座であることが別世界を感じさせたり、あくまで夜空をイメージさせる音楽なのだろうと思います。
因みにカノープスは、エストニアからは見ることができませんが、日本からはぎりぎり見える星です。中国では南極老人星と呼ばれ、この星を見ると寿命が延びるという言い伝えがあります。りゅうこつ座の音楽が、どことなく東洋風である理由はそこにあるかもしれません。
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