マゼラン銀河 Magellanic Cloud

 大マゼラン銀河
Large Magellanic Cloud
小マゼラン銀河
  Small Magellanic Cloud

Gaia's Milky Way

 これは 2013年に打ち上げられたヨーロッパ宇宙機関(The European Space Agency)の宇宙望遠鏡「ガイア Gaia」が収録した過去最大の全天マップで、2018年に公開されました。ここには 17億個の星の位置と明るさが高い精度で記されています。天の川の星の総数の 1%に過ぎませんが、これまでの記録数を遥かに上回っているそうです。

 この画像の天の川の右下に、大マゼラン銀河、小マゼラン銀河があります。マゼラン銀河は南半球と北半球の低緯度の人々には肉眼で見えたため、原始時代から知られていたのではないかといわれています。ヨーロッパの人々に知られたのは大航海時代、ポルトガルの探検家フェルディナンド・マゼラン(1480-1521)による世界一周の航海(1519年から1522年)に同行していたイタリアの航海者アントニオ・ピガフェッタ(1491-1534)が記録してからです。初めはマゼラン雲と呼ばれていました。



 これもガイアによるデータで、大マゼラン銀河が回転していることを表しています。時計回りで回転しているそうです。



 大マゼラン銀河はかじき座の領域にあり、その領域にはタランチュラ星雲、超新星 1987Aなど興味深い天体が多数あることは既に書きました。棒渦巻銀河または不規則銀河に分類され、16万光年に位置し、小マゼラン銀河とともに天の川銀河の伴銀河といわれています。


The Small Cloud of Magellan

 小マゼラン銀河はきょしちょう座の領域にあり、その領域には全天で 2番目に明るい球状星団 NGC 104きょしちょう座 47」があることなどは既に書きました。きょしちょう座 47」はこの画像でも左に明るく輝いています。大マゼラン銀河と同様、棒渦巻銀河、または不規則銀河に分類され、19万光年に位置しています。

 シサスクの大マゼラン銀河の音楽は、重厚な和音と銀河の巨大な回転を表すようなグリッサンドによるダイナミックな音楽です。




 この大量の重なる音符を弾くには指の数では足りませんので、上腕を使って鳴らします。右手上腕で和音を押さえたままの状態でペダルを外し、共鳴音が残っている間に左手のスタッカートの音を弾くと、各音が波紋を作るような余韻を生み出します。強大な和音の響きで表した大マゼラン銀河の全体像の中に含まれる多様な星や星雲を点で表しているような見事な手法です。イメージを持つことで、スタッカートの一音一音に星々の存在感、カラーを感じることができます。

 小マゼラン銀河の音楽は、大マゼラン銀河の最後の和音に音を重ねることで切れ目なくスタートします。大マゼラン銀河の音楽とは対照的に、規模の小ささを感じさせます。




 これは中間部に現れる  f の部分です。球状星団「きょしちょう座 47」を表したのではないかと私は想像しています。現在の譜面では左手の ド# Cis - ミ E - ソ# Gis  の和音は音を出さずに押さえるようにという指示があります。押さえたままの状態でペダルを外し、右手のパッセージを弾くと、和音の音がぼんやりと浮かび上がってきます。
 上段にあるで書かれた部分は、内部のド# Cis弦を右手の指で押さえながら、左手で鍵盤のこの音を弾きます。この内部奏法は曲の最後までに 8回現れます。このように印象づけられた ド#  Cis は、マゼラン銀河から次曲の「コールサック」へと引き継がれていきます。
 




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