9. うさぎ座 Lepus

兎座  Lepus

孤独  Solitude

M79

 古代ギリシア時代から知られていたといううさぎ座オリオン座の南下にあり、西にはおおいぬ座があるので、オリオンが狩り立てているとか、大犬シリウスに追われている兎などと言われ、冬の澄んだ夜空では見つけやすい星座とのこと。
 うさぎ座の足元には球状星団 M79があります。拡大した写真なので華やかに見えますが、遠くに見ると白っぽく、小さな天体だそうです。私たちの天の川銀河にある球状星団というのは、ほとんどがいて座の方向、つまり銀河の中心部の方向にあるらしいのですが、この M79は中心部からかなり離れており、地球からは天の川の方向とは反対側に見えるそうです。



 これは深紅色星(クリムゾンスター)と呼ばれ、くじら座のミラのような変光星です。うさぎ座 R星 として、シサスクの星図の中にも R と記されています。

 シサスクのうさぎ座のイメージは「孤独」。

 膨大な星が集まる賑やかな銀河の中心から遠く外れた M79や、ポツンと輝くクリムゾンスターを知るとそのイメージに納得します。

 シサスクのうさぎ座の音楽は《北半球の星空》全曲の中で最も音の数が少なく、左右はユニゾン(同じ音の単旋律)で、微かな抑揚しかありません。曲の終わりは pppp になり、全曲中、最も小さな音量になっています。

 誰も行き着くことのできない星。二度と帰ってこられないような遠い星。孤独だけれども、ちゃんと存在している・・。それを教えてくれるうさぎ座です。