61. うお座 Pisces

魚座  Pisces

悟りを得て  Got Enlightened
星空への賛歌  An Anthem to Starry Sky〜


 うお座の方向 3200万光年にあるこのゴージャスな渦巻銀河 M74 には、1000億個もの星が集まり、その広がりは3万光年にも及びます。



NGC488(Wikipedia)

 9000万光年にある美しく繊細な渦巻銀河 NGC488 の渦は M74 に比べてしっかりと巻かれています。




 NGC660は「極リング銀河」Polar Ring Galaxy と呼ばれる珍しいタイプの銀河で、4000万光年の彼方にあります。極リング(極軌道)とは、この画像では銀河の円盤を縦に横切るように見える環のことです。この環では、ガスや恒星が周回しているといいます。このような形になったのは銀河同士の衝突が原因ではないかと考えられています。



 うお座の方向、約1億光年にカラフルで美しい銀河が集まっています。一番左の銀河は楕円銀河 NGC474は、その右の青色の渦巻銀河 NGC470 との重力による相互作用で独特な形になり、貝殻状銀河とも呼ばれています。右の方に見えるぼんやりとした銀河も同じく近くの銀河の相互作用から、やや貝殻状になっています。




 この図は2014年にハワイ大学の研究チームによって発見された銀河の巨大な集合体である「ラニアケア超銀河団」を表しています。ラニアケアとはハワイの言葉で「無限の天空」あるいは「広大な天国」を意味します。
 地球は宇宙の中のどこにあるのでしょう。私たちの住む場所は、番地から始まって、市町村名、県名、国名を表しますが、その先は地球、さらにその先はどうなるでしょう? 地球→太陽系→局部銀河群(天の川銀河)→おとめ座超銀河団ラニアケア超銀河団→宇宙! となるでしょうか!?

 ラニアケア超銀河団の直径は5億光年(天の川銀河の5000倍)あり、10万個の銀河が存在するといわれています。上図のラニアケア超銀河団の範囲の中にあるグレート・アトラクター(巨大重力源)は現在はまだ正体不明とのことですが10万個の銀河はここに引き寄せられて集まっていると考えられています。上図の糸状の白線は、その重力源へと引き寄せられる軌跡を表しています。ラニアケア超銀河団の外側にも「ペルセウス座・うお座超銀河団」などの超銀河団があり、宇宙の地図は今後の発見によってまだまだ拡大していくでしょう。
 下の動画ではより立体的な宇宙の地図を感じることができます。



 シサスクのうお座のイメージは「悟りを得て」(星空への賛歌)。

「悟りを得る」とは真理を知ること。宇宙の最新の発見が「ペルセウス座・うお座超銀河団」と隣接するラニアケア超銀河団だったのですから、シサスクのうお座のイメージはこの発見を境に突然、変わったかもしれません。書き添えられた「星空への賛歌」からは、人類の想像を遥かに超える宇宙に対する敬意を感じます。


Abell 262(Wikipedia)

 これは「ペルセウス座・うお座超銀河団」を構成する主な銀河団の一つ Abell 262 です。ラニアケア超銀河団の次は、隣接するこの領域が解明されてほしいですね。


 シサスクのうお座の音楽では、みなみのうお座の孤独感を振り切るかのように、冒頭に再び主導動機が現れます。以前、この主導動機は4つの曲に出現すると書きました。その4曲とは、第1曲 ほうおう座(動揺する蝶)、第4曲 ちょうこくぐ座(寺院への旅)、第16曲 みなみのうお座(孤独に漂って)、第17曲 うお座(悟りを得て)で、それぞれ冒頭に出現します。赤い字の曲は「蝶」が弾く曲、それ以外は「狼」が弾く曲です。うお座《赤道の星空》全曲中、最も輝かしい音楽といってよいでしょう。つまり主導動機は、「狼」と「蝶」それぞれにとっての ”幕開け” と ”クライマックス” を示しているのです。

 うお座の主導動機の後は、深淵なる宇宙へと遠ざかるような音階があり、その先にppp で歌われる旋律は、重力によって引き付けられるように集う銀河団の歌かもしれません。それは宇宙からの電波のような波形(アルペジョ)となって、シサスクの耳に届いているようです。





  「宇宙から自分に届く音楽は、常に幸福に満ち溢れている」と彼は言っています。うお座の「星空への賛歌」は明るいハ長調で、厚みと音量を増幅しながら繰り返されます。エネルギーを注ぐ演奏によって、星空との一体感を得られるでしょう。終結部は星たちへの愛情を噛み締めるかのように、低音ド C  の深く温かい保続音にテーマを乗せて、フェイドアウトとなります。








コメント