68. とかげ座 Lacerta

蜥蜴座  Lacerta

妖精たちの声  The Voices of Elves

Waves of the Great Lacerta Nebula 

  「鷹の爪星雲」または「とかげ座大星雲」とも呼ばれるこの天体はとかげ座の方向 1200光年にある散光星雲 Sh2-126です。アンドロメダ銀河とほぼ同じ大きさで、星雲としては最も大きなものの一つであるにもかかわらず、望遠鏡や双眼鏡では見えないこともあって、あまり知られていません。



NGC 7243(Wikipedia)

 シサスクが自筆で記しているとかげ座の天体はどれも地味なもので、NASAには画像が見つかりません。この NGC 7243は 2300光年にある散開星団です。
 とかげ座自体も暗い星が多くて目立ちませんが、はくちょう座アンドロメダ座に挟まれているため比較的見つけやすい星座です。


 シサスクのとかげ座のイメージは「妖精たちの声」。

 シサスクは望遠鏡や双眼鏡では見えない星雲や、目立たないけれど確かに存在する星団や銀河から声を聞こうとしたかもしれません。妖精たちというのは森の中にいたりしますが、「鷹の爪星雲」のように見えるようで見えなかったり、かすかな水滴の音、葉ずれの音、巨木の水脈から聞こえる音などが妖精の声かもしれないです。

 とかげ座の音楽は全24小節しかありません。4/4拍子で始まり、その後は 3/4拍子と 2/4拍子が交互に来て、異なる波長の光がゆらめいているかのようです。突如として現れる f の 6連符は、宇宙からの電波の振動を思わせます。終結部は pppまで減衰し、最後は弾く動作のみ(譜例)になります。もし生演奏を見たとしたら、動作だけなのに何か聞こえるような気がするでしょう。 


【譜例】


                                                                                  ✖️で表された音符はその音が聞こえません。







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