21. うみへび座 Hydra

海蛇座  Hydra

無限  Timelessness

The Hydra Cluster of Galaxies

 うみへび座は 88星座中最大の星座で、その頭が東の空から昇ってきて尾の先端が現れるまでに、7時間かかるといわれています。それほど巨大なのに目立たない星ばかり。エストニアではうみへび座を構成する2つの星が、地平線の下に潜ったまま見ることができないようです。シサスクの自筆の星座図(下図;初版譜内)から、そのことがわかります。




 星空に潜むうみへび座の方向には、全長1000万光年ともいわれる「うみへび座銀河団」があります。冒頭のNASA画像では、数々の美しい銀河がふんわり浮かぶように光を放っています。



 これはうみへび座の領域にある渦巻銀河 M83です。「1000のルビー」や「南の回転花火」という呼び名もあり、その名の通り、ルビーを渦状に散りばめた巨大な花火のようです。


 シサスクのうみへび座のイメージは「無限」。

 最大の星座領域を持つうみへび座には、知られざる世界が限りなくあるに違いありません。


 シサスクのうみへび座の音楽は、何かが噴出するようなアクセントと、急速にうごめくパッセージが続き、まるで渦を巻いて絶え間なく回転しながら次々と新星を生み出す壮大な銀河に入り込んでいくかのようです。動きが静止した時は、銀河の渦を抜け出て、星屑だけが浮かぶ沈黙の世界をさまよう自分を感じることができるかもしれません。この曲集でここだけにしかない、低弦をはじく突然の内部奏法には緊張が走るでしょう。

 うみへび座は春の星座です。オリオン座が地平に傾くころ、巨大な姿が現れます。シサスクがオリオン座の曲の次にうみへび座を続けた理由もうなずけます。



 

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