プレアデス星団 Pleiades

プレアデス星団  
Pleiades


 プレアデス星団 M45 はおうし座に属する散開星団(メシエカタログでは M45)で、 430光年の距離にあり、地球の夜空では最も明るく見える星の集まりです。和名は「すばる」です。

 シサスクはこと座おひつじ座の曲間に「7つの楽興の時〜プレアデス」Seven Musical Moments "Pleiades" (1986)を挿入しています。《銀河巡礼〜北半球の星空》Op.10 とは別の作品番号 Op.11 が付いているので、小曲集として単独で演奏しても良いでしょう。



 プレアデス星団アトラス(巨人)とプレイオネ(ニンフ)の 7人の娘の名がついた星から成っています。上の NASAの画像にその名前を書き込んでみました。シサスクの作品では、それらの 7人の娘の名がそのまま下記の順で曲名になっています。

 1. エレクトラ  Electra 4等星   おうし座17番星 370光年
 2. マイア  Maia 4等星   七姉妹の長女 おうし座20番星 383光年 
 3. タイゲタ  Taygeta 4等星 おうし座19番星 409光年 
 4. アルキオネ  Alcyone 3等星 おうし座イータη 星 410光年 
 5. メローペ  Merope 5等星 七姉妹の末妹 おうし座23番星 380光年  
 6. アステローペ  Asterope 6等星 おうし座21番星 372光年 
 7. ケレノ  Calaeno 5等星 おうし座16番星 377光年 


 星々は超高温のために青白く輝いています。ぼやけて見えるのは、星間のガスにその色が反射しているためです。また、7つの星のほとんどが変光星で、数日周期で明るさが変化するとのことです。上に書いた明るさの等級は、数字が小さいほど明るい星であることを示しています。


 シサスクのプレアデス星団の音楽は、7つの星のイメージを画像で見るよりも遥かに、一つ一つを個性的に捉えて表現しています。逆の言い方をすると、彼の音楽を聴くことで、それぞれどんな 7つの星なのだろうかと興味が湧くでしょう。

 私はまず、曲順がどのように決められたのかを推測するのに、地球からの距離、明るさ(等級)を調べました。すると、一番明るく、一番遠い星であるアルキオネ 
Alcyoneが全 7曲の中心に置かれ、その前に明るい星を地球から近い順に、そして後ろに、地球からはほぼ同距離で、肉眼での確認の難しい暗い星を置いていることがわかりました。



 シサスクは初版に方眼紙を使って、プレアデス星団の星の位置を正確に記しています。その図に失礼ながら、書き込みをしてみました。番号は曲順、赤い三角形は最初の 3、青い三角形はアルキオネに続く 3曲です。三角形の点の結び方は時計回りになっています。これで位置関係や星の名前を覚えられそうです。 全曲を弾くにあたって、こうした位置関係をイメージすると宇宙の奥行きを感じることもできるでしょう。ギリシャ神話の七姉妹をイメージすることは自由かと思いますが、シサスクは神話の知識はあっても、それにはあまりこだわっていないと思います。

 ところで、この後に及んで、実は困ったことがあります。シサスクは初版譜にも edition47 の初版にも、それぞれの曲に番号を振っただけで、星の名前を記していないのです。まさか書き忘れたのでしょうか??  タイトルについては、なんと、ラウリ・ヴァインマー Lauri Väinmaa 氏の CD で確認できた次第です。彼はシサスクの友人であり、初めてシサスクの《銀河巡礼》をレコーディングしたピアニストでもありますので、間違いはないでしょう・・。しかしこの際、いっそのこと七姉妹はお忘れいただいて、ご自分で命名されてはいかがでしょう? (笑)


 当ブログでは、これまで、おうし座おひつじ座ペルセウス座での引用画像にもプレアデス星団を登場させました。この機会にぜひ、再度ご覧になってみてください。

 なお、《銀河巡礼〜北半球の星空》において、「プレアデス星団」をおひつじ座の曲の前に挿入したのは、これらが隣接しているからという理由にほかならないでしょう。

 



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